パチンコ屋のトイレへの嫌がらせ・器物損壊行為は、まぎれもない犯罪であり、絶対許されるものではありません。
お店としては、このような器物損壊犯は徹底的に制裁し、再犯を防止したいところです。
しかし、実際のところ、犯人を逮捕・検挙できるのか、個室内での犯罪を取り締まれないのではないか、という点もありますので、この点を考えてみたいと思います。
どうしても逮捕は困難
結論としては、トイレ個室内への嫌がらせをの犯人を逮捕することは非常に難しいです。
残念なことに、個室内でのイタズラに関しては、防犯カメラがないために、犯行現場の直接証拠がありません。また、それゆえに犯人も分かっていないことがほとんどでしょう。
警察側の基本的なスタンスとして、証拠がないもの・犯人が未確定なものは、捜査の優先順位がかなり低くなります。
もちろん、被害届を受け付けることはできるのですが、ちゃんと捜査がされ、犯人が特定される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
殺人や強盗といった重大犯罪が優先して処理されるというのは、市民としては仕方ないと考えるしかないですね。
また、悲しいことですが、警察官個人の視点でも、「それだけ商売をして儲けてるんだろう」とパチンコを快く思わない警察官がいるのも確かです。何の非もない市民が被害者である犯罪の方が、どうしても優先されてしまうことがあります。
ですが、一定の場合には、警察が調査し逮捕してくれる可能性があります。
捜査・逮捕に至る可能性
犯人が特定されているケース
器物損壊可能性がある客がいる場合、犯人が明確に特定されていれば、警察には捜査義務が生じます。つまり、店側で犯人を絞り込めれば、捜査が始まる可能性は高いです。
個室内の破壊は証拠がありませんが、個室外の小便器エリアでは監視カメラの設置も可能、ここでの破壊行為は特定することができます。個室を出た客がすぐに別の個室に入るなど、挙動不審であることで犯人の候補を絞ることもできます。
注意点として、「かもしれない」というだけでは警察には取り合ってもらえません。定期的な見回りで犯行時間を特定し、その時間の利用客を絞り込み、会員カード情報と紐付けで個人情報まで特定しておく必要があります。
被害規模が甚大であるケース
犯人が不明であっても、結果が重大であれば警察が親身に取り合ってもらえる可能性があります。トイレの詰まりで浸水被害が生じた、他テナントへの損害も発生したといった場合には、その旨を警察に伝えることで、親身に調査してもらえる可能性は上がります。
また、ウォシュレットへの頻繁な破壊行為など、損害額として100万円を超えてくるような場合も、警察側として重大視してもらえる可能性は高くなります。
店側の立場での対処法
犯人の絞り込みと証拠集めが最優先
パチンコ屋の個室内での犯罪を取り締まることは非常に難しいです。犯人が誰であるかを特定した上で、犯人の個人情報も特定するとなると、非現実的と言わざるを得ません。
パチンコ屋側の視点として、泣き寝入りしないためには、犯人の調査をお店で主体的に行い、犯人の容姿や個人情報を絞り込んでおく必要があります。
小規模で客が少なく特定できる範囲の店であれば、監視カメラの映像を保管し、場合によっては探偵や弁護士などに相談して特定を進めるのが良いでしょう。
しかし、不特定多数が出入りし、会員カードを持たない一見さんが多いような繁華街の店となると、犯人の特定は困難であり、特定を諦めるしかない場合もあるとは思います。
警察を頼らない出禁
お店としては、警察に頼らず、逮捕以外で措置を考えることも選択肢に入ります。
もし、確信に至らなくてもトイレ破壊疑惑の強い客がいる場合、その他にも店のハウスルールやマナー違反をしている可能性は高いでしょうから、よく観察して、監視カメラ上で確認できる違反を理由に出禁を通告するのも良いでしょう。
お店の経営判断も重要
器物損壊は許されるものではないですが、特定にかけるコスト・人件費よりも修理代の方が安い、ということも考えられます。
特に大手チェーンであれば、客が非常に多く不特定多数にわたる反面、スマスロ・各台計数導入によって店員の人件費を最大限節約しており、監視カメラがない場所での犯人特定の難易度は極めて高いです。
その分、それを補うほど利益が出ているということでもあるため、どこまで犯人特定にリソースを割くのかは、お店の慎重な経営判断が必要になるでしょう。